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CPU中心に発展してきたHPC(High Performance Computing)の世界で、GPU活用と融合へのシフトが急速に進んでいる。2026年7月2日(木)・3日(金)にPCクラスタコンソーシアム(PCCC)が神戸市で開催した「PCCワークショップ神戸2026」は、その転換点を肌で感じる2日間となった。

テーマは「AIによるHPC(AI-driven HPC)」。AI(人工知能)がHPCの開発・運用・応用にもたらす変革の可能性と課題を議論する場として、初日は国内主要ITベンダー、半導体メーカー、大学・研究機関など計12組織による会員発表、2日目は気象・気候シミュレーションやクラウドHPCをテーマとした講演とパネル討議が行われた。
GMOインターネットグループも会員発表に登壇し、あわせて理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS)のスーパーコンピュータ「富岳」を見学。2日間の議論から見えたHPC基盤の設計思想の転換と、GMO GPUクラウドから発表した「AI時代の計算基盤における性能と信頼性の両立のGPU基盤」について報告する。
・名称:PCCワークショップ神戸2026(主催:PCクラスタコンソーシアム)
・日程:2026年7月2日(木)〜3日(金)
・ 会場:神戸市
・ 構成:第1部 PCCC会員発表(12組織)/第2部 テーマ講演・パネル討議
HPC基盤における性能とセキュリティのトレードオフ、「アラートゼロ≠安全」という課題認識、EDR+SOC監視を標準搭載した「GMO GPUクラウド」の多層防御の実際を紹介。

従来、HPCの世界はCPUによる大規模シミュレーションを中心に発展してきた。GPUクラスタもまた、「少数の高度なユーザーが、大きな計算資源を計画的に占有して使う」大規模学習向けの設計が主流だった。
しかし今回のワークショップでは、ベンダー・大学・研究機関の別を問わず、GPUを融合させた次世代システムの構想が相次いで示され、「AI for HPC / HPC for AI」というキーワードが繰り返し登場した。GPU活用への取り組みは着実に、そして急速に進んでおり、HPC基盤の設計思想そのものが転換期にある。
この転換の背景には、GPU需要の構造変化がある。汎用LLM(大規模言語モデル)・RAG(検索拡張生成)・AIエージェントの普及により、需要の中心は「モデルの学習」から「推論APIを呼び出す業務システム」へと広がった。推論は1回モデルを動かして終わる作業ではなく、複数部署・多数ユーザーが常時利用するITシステムである。
そこで求められる要件は、学習向けに最適化された従来のHPC基盤とは異なる。低レイテンシと公平性、常時稼働とジョブ管理、環境の自由度とマルチテナントの安全性――これらのピーク性能を犠牲にせずどう満たすか。当社が講演で提起した「HPC型GPU資源を、どう安全かつ柔軟に推論へ開放するか」という問いは、会場での質疑や意見交換を通じて、国内GPU基盤の共通課題であることを確信させるものだった。

ワークショップにあわせて、神戸市ポートアイランドの理化学研究所 計算科学研究センター(R-CCS)を訪れ、スーパーコンピュータ「富岳」を見学。

「富岳」は理化学研究所と富士通が共同開発し、2021年3月に完成した日本のフラッグシップスーパーコンピュータである。Armベースの独自CPU「A64FX」を採用し、総ノード数158,976ノード(432ラック)、ピーク性能537ペタFLOPS(倍精度)という世界トップレベルの計算性能を持つ。TOP500で世界1位を獲得した実績に加え、新型コロナウイルスの飛沫シミュレーションや気象予測など、社会課題の解決に直結する成果を数多く生み出してきた。整然と並ぶ432ラックが静かに膨大な計算を続ける光景は、日本の計算科学の底力をそのまま体現していた。
次世代機「富岳NEXT」は、AI性能(FP8)で世界初のゼタスケール(600エクサFLOPS超)を目指す「AI-HPCプラットフォーム」として、2030年頃に理研神戸地区で稼働予定だ。CPUによるシミュレーションを極めてきた日本のHPCの頂点が、次の世代ではGPUと融合する。今回のGPUシフトの潮流を象徴する構想といえる。
当社にとって、PCCC加入後初のワークショップ参加となった。第一線の議論と圧倒的な計算基盤に触れ、HPC界を率いる第一線のみなさんの熱い議論に多くの学びと、国内のHPC・AI基盤の発展に共に貢献していく思いを新たにした2日間だった。