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【イベントレポート】特別招待制AIセミナー「製造業の未来を加速する 次世代AI技術ショーケース」

2025年7月8日(火)、特別招待制AIセミナー「製造業の未来を加速する 次世代AI技術ショーケース国内生成AIで加速する変革と挑戦」が開催されました。 

昨今の生成AIに代表されるAI技術の急速な発展は、製造業の未来をも変えようとしています。本セミナーは、主に製造業の方に向けてAI技術開発の最先端の動向に触れていただくことで、自社の成長発展にAI活用の契機を提示することを目的として開催いたしました。 

開催概要

セミナーは全4セッションで構成され、まずデル・テクノロジーズから現在フォーカスしている技術領域に関して講演。その後は具体的な事例紹介として、 

・「GMO GPUクラウド」を利用した生成AI用合成データの作成報告(マクニカ/NVIDIA) 

・End-to-End(E2E)で直接運転指示を行う高度な自動運転AI(チューリング) 

・オンデバイス向けSLM(小規模言語モデル)のファインチューニングの実装事例(伊藤忠テクノソリューションズ/ヘッドウォータース) 

の3つのセッションが行われ、いずれも「GMO GPUクラウド」の環境を利用した最先端のAI開発事例が披露されました。 

Sassion1

現在フォーカスする9つの技術領域とは? 
デル・テクノロジーズ株式会社 増月 孝信氏  

生成AIなどのAI技術が日々発展を続けるなか、ビジネスソリューションを提供する立場からどのような技術領域に注力すべきか。そんな視点での講演を行ったのは、デル・テクノロジーズ AI Specialist 増月 孝信氏です。 

『イノベーションの波をリード ~デル・テクノロジーズが挑む革新技術~』と題した講演では、同社が現在フォーカスしている9つの技術領域について、それぞれ解説を行いました。 

「マルチクラウド」や「エッジコンピューティング」、「データマネジメント」をビジネスの基点と位置づけ、今後のクラウド戦略を解説。さらにAI分野では「AIスケールの法則」が注目領域として紹介され、識別型AIと生成AIの利点を組み合わせた分散型ハイブリッドシステムの提案を行いました。増月氏は講演の最後に「今後、マルチクラウドの世界がますます重要になる」と強調しました。 

Sassion2

「GMO GPUクラウド」でPhysical AI「Cosmos」を動かし、精細な動画を作成! 
株式会社マクニカ 小寺 怜氏 
NVIDIA合同会社 山本 小太郎氏 による2人のセッション。 

講演は二部構成で、前半はNVIDIAによる「Cosmos」や関連AIプログラムの紹介、後半はマクニカによる「Cosmos」を用いた検証事例の発表でした。 

NVIDIA 山本小太郎氏から、「GMO GPUクラウド」の環境に国内で唯一標準搭載されているプログラム群「NVIDIA AI Enterprise(NVAIE)」」の説明が行われました。NVAIEは、NVIDIAが提供する、AIの開発やデプロイに使えるソフトウェアをパッケージ化したプログラム群です。 

マクニカ 小寺 怜氏と、NVIDIA 山本 小太郎氏は「GMO GPUクラウド」を活用した生成AI事例として、Physical AI「NVIDIA Cosmos」(以下「Cosmos」)を紹介しました。Physical AIとは、自律マシンが現実世界を理解し、複雑な行動を可能にするAIで、NVIDIAはその開発基盤として「Cosmos」を提供しています。特徴は大量の動画データ学習です。 

後半のデモでは、倉庫内自動走行車(AGV)の視点から撮影した動画を合成データとして生成した事例を、実際の動画を再生しながら紹介しました。デモは「倉庫の中の動画」と「自動運転向けのシミュレーション動画」の2種類。いずれも「Cosmos Transfer」に条件を設定する指示文を入力することで、リアルな映像に変換する一連の作業を、NVIDIAの高性能GPU「H200」を搭載した「GMO GPUクラウド」環境で実施したと説明されました。本物の動画と見分けが付かないぐらいのクオリティに、小寺氏も「かなりの自信作」と胸を張ります。 

そして、小寺氏は「『GMO GPUクラウド』では『Cosmos』動作検証済みなので、ぜひ使ってみてください!」と、企業での本格導入に向けた技術的準備が整っていることを強調しました。 

Sassion3 

自動運転AIを支えるGPUクラウドの計算資源 
チューリング株式会社 渡辺 晃平氏 

続いては、「自動運転AIを支える技術基盤と今後の展望」をチューリング株式会社 渡辺 晃平氏が紹介しました。 

自動車の自動運転「レベル5」=完全自動運転の実現を目指し、自動運転AIに関する技術開発を進めているチューリングから、開発に必要な計算基盤の設計構築を担当する渡辺 晃平氏が登壇。 

現在、「GMO GPUクラウド」を含めた大量のGPUを使い、自前で整備した日本国内向けの自動運転用データセットとして数十ペタバイト(ペタバイト[PB]=テラバイト[TB]の1,000倍)クラスのデータを大規模に学習しているという、途方もない数字が示されました。 

2025年12月の実証実験で東京都内で30分無介入(ハンドルを一切触らない)運転できるレベルのE2E自動運転モデルを作る全社的プロジェクト「Tokyo30」を目標に掲げていて、これを達成するためには単に学習させるだけではなく学習スピードも重要であると指摘しました。 

そして、マルチクラウド環境において大量の動画・画像データをモデルに高速に学習させるには、GPUの処理速度が速いだけでは不十分で、高速のストレージ、高速のネットワークが必要と訴え、これらをすべて備えた「GMO GPUクラウド」が開発に大きく貢献していることを強調しました。 

Sassion4

個別企業向けSLMファインチューニングの実装事例を紹介 
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 宮内 和義氏 
株式会社 ヘッドウォータース 戸嶋 隆太氏 による2人のセッション。 

最後のセッションは、『オンデバイス向けSLMファインチューニングの実装事例』と題して、伊藤忠テクノソリューションズ 宮内 和義氏と、ヘッドウォータース 戸嶋 隆太氏が登壇。ビジネス活用におけるAIカスタマイズの実装事例として、SLM(Small Language Model)ファインチューニングの紹介を行いました。 

今回の「SLMモデル」実装事例は、某大手サービス業の「現場スタッフ業務効率化プロジェクト」として、iPadアプリの開発を行ったもの。どうしても顧客対応にオフライン対応を含んでしまうので、顧客対応の直後に業務報告のレポートを即時作成できるよう、ローカルのSLMを活用して作成補助するというものです。 

個社の業務に特化した「SLMモデル」の導入は今後さらに広がっていくとされ、ここからは先に紹介した事例とは異なる製造業向けの導入事例が取り上げられました。戸嶋氏は、アプリケーション開発における検証ポイントとして、①「デバイス内で活用するための的確なモデル選定と軽量化」②「業務使用レベルまでに引き上げる精度向上」の2点を挙げました。 

最後に戸嶋は、個社向けの「SLMモデル」導入にはファインチューニングや量子化の開発強化が不可欠で、そのためには「GMO GPUクラウド」が搭載している強いGPU環境が非常に重要であると指摘していました。 

会場内のブース展示 

講演終了後は、会場を取り囲むように設けられた各社ブースに多くのお客様が集まり、和やかな歓談のひとときをお楽しみいただきました。 

ブースには、自動運転やロボティクス、生成AIなど、各社が誇る最新のシステムやソリューションが一堂に会し、普段はなかなか触れることのできない最先端の技術を間近でご覧いただける貴重な機会となりました。来場者の皆さまはデモンストレーションを通じて実際に操作や体験をされ、「次世代AIがどのように産業や生活を変えていくのか」という未来像に触れていただき、大きな関心と期待を寄せている様子が伺えました。 

このセミナーを通じて、AI技術、特に生成AIとPhysical AIの融合が製造業をはじめとする現実世界の課題解決に向けて急速に進展していることが明確に示され、参加者にとって極めて価値の高い技術情報共有の場となりました。 

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